オヤノミカタブログ

株式会社オヤノミカタ 代表取締役 1978年生まれ。在学中にWeb制作を始め、その後、IT業界で活動。仕事中心のワーカホリックな生活から一転、子育て中心の主夫生活へと移行し、子育てにおける両端を経験。36歳で株式会社オヤノミカタ設立。滋賀県大津市在住。3児の父。

子育てを「楽しめる人」と「楽しめない人」の決定的な違い。

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普段から、子育て中のママさんやパパさんにお話を伺う機会は多いのですが、「子育てが大変すぎてつらい」との声を頂戴することがあります。一方で、「大変なことも多いが、やっぱり子育ては楽しい」とおっしゃる方も、いらっしゃいます。

いったい、この感覚の差はどこから生まれるのでしょうか? 今回は、子育てを「楽しめる人」と「楽しめない人」の違いについて考えてみたいと思います。

親の意志では解決しようのないことがたくさんある。

まず、子育ての大変さがどこから来るのかを考えてみます。

命を預かる重圧、思い通りにいかない苛立ち、先の見えない不安、日常的な睡眠不足、自由に動けないフラストレーション、社会から隔離されたような孤立感、パートナーの理解が足りないことへの不満、こどもにつらくあたってしまった時の自己嫌悪・・・。子育てには、こうしたハードルが絶えず立ちはだかります。

そうしたハードルを乗り越えようと、皆さん、試行錯誤されてきたのではないでしょうか。育児書を読んだり、ネットで検索したり、サークルに入ったり、セミナーに参加したり、ママ友の意見を参考にしたり・・・。答えのない難しいトピックに、毎日、手探りで挑み続けておられることと思います。

しかし、子育てには、親の意志では解決しようのないことがたくさんあります。夜泣き、イヤイヤ期、などを想像してもらえれば分かりますが、親がどれだけ努力しても改善できることには限界があり、最終的にはこどもが成長してくれるのを待つしかなかったりするのです。

先に挙げた子育てのハードルも、努力して改善できることには限界があり、最終的には忍耐が必要となってくる場合がほとんどです。子育てのハードルを乗り越えようと努力すればするほど、自分が主体だと思っていた子育てが、実は自分の力の及ばないところにある、という事実を知ることになるのです。

子育ては一般的なモチベーション論では捉えられない。

通常、取り組む対象が困難であればあるほど、それを乗り越えるだけのモチベーションが必要となってきます。次に挙げるのは、一般的に、モチベーションの源泉と言われているものです。

1)「自分の行動を自分がコントロールできている」という自己決定感
2)「うまくやれている」という有能感
3)「うまくなってきている」という成長感
4)「やり遂げた」という達成感
5)「一緒に頑張った、他にも頑張っている人がいる」という連帯感
6)「よくやった」という周囲からの承認

こうやって見ると、残念ながら、いずれも子育てにおいては非常に得にくいものばかりです。そして、「子育ては楽しい」と感じている人が、特別、これらをたくさん得ているようにも思えません。つまり、子育ては一般的なモチベーション論では捉えられないということになります。子育ては、他の取り組みとは、根本的に質が違うもののようです。

「子育ては楽しい」と感じている人の特徴4つ。

そこで、「子育ては楽しい」と感じている人の特徴を考えてみたいと思います。

1)子育てを分担できている
パートナーも子育てに参加している、祖父母のサポートがある、など。なんと言っても、この要素は大きいですね。複数の大人がいれば、精神的な負担は大幅に削減できます。

2)育児ストレスを感じにくい性格
完璧を求めない、気が長い、自分や人を許せる、1人で抱え込まない、こどもが好き、など。こういった元々の性格も、大きく影響しているようです。

3)ストレスを軽減できている
仲の良いママ友がいる、自由になれる時間がある、仕事をしている、など。前述の通り、子育ては、親の意志ではどうしようもない領域が大きいので、ストレスを減らす手段が確保できていることは重要です。

4)乗り越えるのではなく回避
良い意味でのあきらめ感、割り切り感、など。子育てのハードルは、すぐには乗り越えられない、あるいは、どうやっても乗り越えられないことばかりなので、あえて乗り越えようとせずに、うまく回避しようとする姿勢は重要です。

こういった複数の要素が組み合わさることで、心に余裕が生まれ、子育てを楽しめる土壌が作られているものと考えられます。

決定的な違いは、こどもとの生活そのものを楽しもうとする姿勢。

前述の4つの要素は、どちらかと言うと、精神的負担を軽減し、「子育てはつらい」というマイナス感情を減らすものです。ただ、それだけだと、「子育ては楽しい」というプラス感情を持てるところまではいかないのではないかと思います。やはり、プラス感情を高める要素は必要で、それが次に挙げる5番目の特徴です。

5)こどもとの生活そのものを楽しもうとする姿勢
遊んだり、会話をしたり、テレビを見たり、出掛けたり、そういった何気ない日常を楽しもうとする姿勢です。これは、子育てを楽しんでいる人すべてに共通しています。ただし、意識的にやっている訳ではないので、当の本人は、気づいていないことが多いです。

誰しも、こどもが生まれた瞬間は、こどもの世話をすることになんの抵抗もなく、100%自然な行為だったと思います。そして、こどもとの毎日を楽しもうと思っていたことでしょう。ところが、「大変だ」と思うような経験を繰り返すうちに、だんだん子育てに「取り組む」という意識が強くなり、楽しもうという気持ちが隠れていってしまうのです。

それでも、こどもとの毎日を楽しもうという気持ちをなくさずに持ち続けられている人こそが、子育てを「楽しめる人」です。この気持ちを持っているかどうかが、子育てを「楽しめる人」と「楽しめない人」の決定的な違いということになります。

子育てが一般的なモチベーション論で捉えられない理由は、ここにあるのではないでしょうか。子育てを、「楽しむ」対象ではなく「取り組む」対象として捉えてしまうと、行動の原動力となるモチベーションが圧倒的に足りません。こどもとの生活そのものが楽しければ、わざわざ「取り組む」必要もありませんし、モチベーションを上げる必要もないということです。

子育てが「試練」にならないような社会であればいい。

以上、子育てを「楽しめる人」と「楽しめない人」の違いを見てきました。では、子育てを楽しめない人が、楽しめるようになるには、どうすればいいでしょうか。おそらく、子育てを楽しめない人は、子育てが「試練」のようになってしまっているのではないかと思います。

まずは、どれだけ頑張っても親の意志ではどうしようもないことがある、という事実を受け入れて下さい。そうすれば、解決できないことに労力を使って、精神が削られてしまう事態を避けられます。

次に、「子育てはつらい」というマイナス感情を減らすことを考えてみて下さい。パートナー、祖父母、ママ友、公共機関といった自分以外の人の手を頼るのがいいと思います。わたし自身、苦しんでいた時に、カウンセラーに話を聞いてもらったことで、救われた経験があります。とにかく負担を減らし、心に余裕を作ることが大切です。

そして、少し余裕ができたら、「子育ては楽しい」というプラス感情を高めるため、こどもとの毎日を楽しもうと思っていた頃を思い出してみて下さい。こどもが生まれた頃の写真や動画を見返すのも、いいと思います。

そもそも、子育てが「試練」にならないような社会であれば、このようなことで悩まなくてもいいのだろうと思います。すべての親が子育てを楽しめる世の中を作るため、オヤノミカタはこれからも尽力してまいります。

※読者の方からご指摘があり、一部、表現を変更しました(2018.9.20)。