オヤノミカタブログ

株式会社オヤノミカタ 代表取締役 1978年生まれ。在学中にWeb制作を始め、その後、IT業界で活動。仕事中心のワーカホリックな生活から一転、子育て中心の主夫生活へと移行し、子育てにおける両端を経験。36歳で株式会社オヤノミカタ設立。滋賀県大津市在住。3児の父。

「察して欲しい」vs「言わなきゃ分からない」、パートナー間のすれ違いはなぜ起こる?

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今回は、どのご夫婦でも思い当たるであろう、「察して欲しい」vs「言わなきゃ分からない」の話です。

うちは、夫婦ともにフルタイムで働いていて、育児や家事を50:50で分担しています。主にわたしが育児、妻が家事の担当です。先日、妻と育児の話をしている中で、こんなことを言われました。

「やってほしいことがある時は、ストレートにお願いして。『察して欲しい』なんて傲慢。」

「察して欲しい」vs「言わなきゃ分からない」というのは、よく女性と男性の脳構造の違いとして説明されます。女性=「察して欲しい」、男性=「言わなきゃ分からない」、という図式です。はたして、本当にそうなのでしょうか。実際、上記のように、うちでは男女の立ち位置が完全に逆転しています。

そこで今回は、「察して欲しい」vs「言わなきゃ分からない」の背景にいったい何があるのかを、「男女の違い」とは別の角度から考察してみたいと思います。この真理を突き止めることができれば、パートナー間の無用な摩擦を減らすこともできるはずです。

「察して欲しい」は、置かれた立場から生まれている可能性がある。

まず、どのような経緯で、「察して欲しい」という感情が生まれるのかを見ていきます。

皆さん、自分が育児や家事をこなしている隣で、パートナーがくつろいでいるという状況、経験したことはありませんでしょうか。その時、やり場のない小さな「いきどおり」を感じませんでしたか。「察して欲しい」という感情は、まさにそういった状況から生まれます。

うちの場合も例外ではなく、妻が仕事から帰って来てソファーに倒れこむ時間帯が、わたしの育児のピークの時間帯とちょうど重なります。すると、自分はあくせく動いているのに、隣で妻がテレビを見てくつろいでいるという状況が生まれてしまうのです。

そうすると、いくら役割分担が決まっていて、それを頭で理解していたとしても、「なんで手伝ってくれないの」という気持ちが生まれてしまいます。そして、その気持ちをストレートに伝えるのではなく、ついつい「こちらから言わなくても手伝って」という態度で表現してしまう。これが、「察して欲しい」の正体です。

うちのケースは、一般的なご家庭とは男女の立ち位置が逆だろうと思います。言い換えれば、世間一般では、女性がこのような状況に置かれることが、圧倒的に多いということ。そして、男性の自分でもそうなるということは、育児や家事の「察して欲しい」は、女性特有のものではなく、置かれた立場から生まれている可能性があるということを示唆しています。

ストレートに気持ちを伝えにくい心理が働いている。

そもそも、夫婦が共に暮らし、各々が自分の時間軸で動いている訳ですから、家庭の中でどちらか一方だけが動いている状況が生まれてしまうこと自体は、避けようがありません。特に、育児は自分の都合で時間調整できるものではないので、そういった状況が生まれやすいと言えます。

そして、自分だけが動いている状況下では、「手伝ってくれてもいいのに」とパートナーを頼りたくなる心理が働くことも、ごく自然なことでしょう。では、その時、なぜ、ストレートに「手伝って」と伝えられないのでしょうか。パートナー間で摩擦が起きるのは、まさにこの部分だと思います。

実際、「言ってくれればやるのに、なんで言わないの?」というのはよく耳にしますし、客観的に見て、もっともな意見のように見えます。ストレートに「手伝って」と伝えないために、「勝手に不満を溜めて八つ当たりしてくる」と受け取られてしまう訳です。

では、問題は、気持ちを伝えない側にあるのでしょうか。そこは、もう少し慎重に考える必要があります。実際は、そこに見えない心理的ハードルが立ちはだかっているのです。「素直に助けを求めるのは抵抗がある」という感情。つまり、ストレートに気持ちを伝えにくい心理が働いているのです。

親として、家族の一員として、自ら行動を起こしてくれることを期待している。

それでは、具体的にどういった心理なのか考察してみましょう。

■怠けているようで言い出しにくい
■相手を動かすのは申し訳ない
■頼むのが面倒、自分でやったほうが早い
■「お願いする」感じが嫌
■嫌がられるかも、断られるかも
■自分の力でこなしたい、完璧にこなしたい
■「手伝おうか」という思いやりが見たい
■「一緒にやるよ」という当事者意識が欲しい

人によってさまざまだと思いますが、上記のような感情が入り混じって、心理的ハードルとなっていると考えられます。該当する項目が多ければ多いほど、ハードルが上がるということです。中でも、大きなウエイトを占めているのが、「当事者意識が欲しい」という願望ではないでしょうか。

基本的に、育児や家事は夫婦二人の共有事項です。なので、「あなたのこどもでもあるでしょ」、「あなたも家族の一員でしょ」という意識が心のどこかにあり、パートナーに当事者意識が感じられない場合は、苛立ちや虚しさを感じてしまいます。パートナーに対して、親として、家族の一員として、自ら行動を起こしてくれることを期待しているのです。

家庭の中で自分だけが育児や家事をしている状態というのは、まさに、そういった心境になる訳で、そうなると、パートナー自ら能動的に行動を起こして欲しいと考えるのは、当然の成り行きです。こちらからお願いして動いてもらうのでは、ダメなのです。それでは、当事者意識が感じられず、ただ命令して動いてもらっただけになってしまいます。

「何かやることない?」を挨拶代わりにする、という提案。

実際、わたしも、「今、急いでいるから、こどもの用意を手伝って」と妻にお願いしたことがあります。その場は、非常にスムーズに、お互いストレスもなく進んだのですが、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが残りました。

「手伝って欲しい」という気持ちを押し殺して全部自分で背負い込もうとすると、しんどくなってしまいますし、具体的な指示を出さずに察してくれるのを待っていても、イライラばかりが伝わってしまう。かと言って、勇気を出してお願いしても、モヤモヤは残る・・・。

非常に難しい課題ですね。いったいどうすればいいのでしょうか。わたしなりに3つの解決策を考えてみましたので、皆さんのご意見も頂戴できれば、幸いです。

1)「何かやることない?」を挨拶代わりにする。
自分から言い出すのは抵抗があるとしても、「何かやることない?」と聞かれれば、比較的、頼み易いですし、パートナー本人の当事者意識も育めます。夫婦ともに、「何かやることない?」を口癖にすることで、お互いに、頼み、頼まれるのが自然な関係が築ければと思います。

2)率直に話し合ってみる。
「なんで言ってくれないの?」という思考は、単純な理解不足から来ている可能性が高いです。頼む側の心理的ハードルは、その立場になってみないとなかなか分からないでしょうから。なので、率直に話し合ってみてはいかがでしょうか。この記事を読んでもらうだけでも、意識に変化が見られるかもしれません。

3)役割分担を見直す。
やはり、「お願いする」という行為は、頼む側の心にハードルを生じさせ易いと思います。であれば、もともとの役割分担を見直し、できるだけお願いしなくてもよい状況を作るのが、得策ではないでしょうか。役割分担に不満を持っていれば、「なんでわたしばっかり」、「自分から手伝って当たり前」という気持ちがプラスされ、問題がさらにこじれてしまいます。

以上、育児や家事の「察して欲しい」vs「言わなきゃ分からない」を考察してみました。この記事を、パートナーシップ向上の一助に。